親の介護が始まる前には分からなかったこと
親の介護が始まる前に、何を準備しておけばよいのでしょうか。
私は、母の介護のために新宿と実家を約7年間往復していました。
行政書士として仕事をしていると、相続や遺言、任意後見など、将来に備えるための手続についてご相談を受けることがあります。
しかし、実際に自分の母親の介護が始まったとき、何をどうすればよいのか分かりませんでした。
そもそも、どうして母がこのような状態になってしまったのか。
何が起きているのかも分からず、誰に相談すればよいのかも分からない。
そんなところから、私の介護生活は始まりました。
きっかけは近所の方の一言でした
母の状態について、最初に気づくきっかけをくださったのは近所の方でした。
「認知症が進行しているかもしれない」
そう言われて、ようやく母の状態について考えるようになりました。
そこから地域包括支援センターへの相談や病院の受診など、少しずつ動き始めました。
また、近所の床屋さんからケアマネジャーさんを紹介していただくなど、地域の方々にも助けられました。
今振り返ると、もし近所の方が声をかけてくださらなかったら、私はもっと長い間、何をすればよいのか分からないままだったかもしれません。
介護というと、家族だけの問題と考えてしまいがちですが、身近な方々とのつながりが大きな助けになることもあります。
介護認定からサービスの利用までにも時間がかかりました
地域包括支援センターへの相談や病院の受診を経て、介護認定の手続を進めました。
ただ、申請をすればすぐに介護サービスが始まるわけではありません。
認定のための調査や審査があり、結果が出るまでには一定の時間がかかります。
なお、介護認定の結果が出る前でも、暫定的なケアプランに基づいて介護サービスを利用できる場合があります。
その際、いったん費用を全額負担し、認定後に介護保険の給付対象となる部分について払い戻しを受ける方法もあります。ただし、認定結果や利用内容によっては自己負担が生じる場合がありますので、事前に確認することが大切です。
私の母の場合は、ありがたいことに、事業者の方のご厚意で支払いを待っていただきました。
当時は分からないことばかりでしたが、こうした周囲の方々の協力に本当に助けられました。
サービスが始まっても、すぐに安心できたわけではありません
ケアマネジャーさんの手配により、ヘルパーさんやデイサービスの利用が始まりました。
しかし、サービスが始まったからといって、すぐに生活が安定したわけではありませんでした。
それまでの生活が変わることに、母自身が慣れるまでにも時間が必要だったのです。
デイサービスに通うことも、ヘルパーさんが自宅に来ることも、母にとっては、それまでの日常にはなかったことでした。
それでも、少しずつ新しい生活に慣れていきました。
やがてデイサービスに行くことを楽しいと思うようになり、ヘルパーさんが来てくださることも楽しみにするようになりました。
そこに至るまでには、さまざまな方の協力と時間が必要でした。
今振り返ると、介護は制度を利用できるようにするだけではなく、本人がその変化を受け入れ、安心して生活できるようになるまでの過程も大切なのだと感じています。
親が元気なうちに話しておきたいこと
私は、この経験から、親が元気なうちに少しずつ話をしておくことの大切さを感じています。
例えば、これからどこで暮らしていきたいのか。
介護が必要になった場合、自宅での生活を希望するのか、施設への入居も考えているのか。
また、介護費用をどのように負担するのか、預貯金や不動産などの財産をどのように管理していくのか。
こうしたことは、本人の判断能力が十分にあるうちに、希望を聞いておくことが大切です。
もちろん、話し合ったからといって、将来すべてがそのとおりに進むわけではありません。
それでも、本人の希望を知っていることは、いざというときに家族が判断するうえで、一つの助けになると思います。
行政書士としてお手伝いできること
終活というと、遺言書の作成や相続の準備を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、終活は亡くなった後のことだけではありません。
介護が必要になったときや、自分で財産を管理することが難しくなったときに備えることも、終活の一つです。
例えば、将来の判断能力の低下に備える任意後見契約や、財産管理に関する契約、遺言書の作成などがあります。
ただし、こうした制度や契約がすべての方に必要というわけではありません。
ご本人の生活状況や家族関係、財産の内容などによって、必要な準備は異なります。
田中行政書士事務所では、まずはお話を伺い、必要に応じて他の専門家とも連携しながら、将来に備えるためのお手伝いをしています。
終活は、今の生活を大切にするための準備でもあります
約7年間の母の介護を経験して、私が感じたことがあります。
それは、介護には制度や手続だけでは解決できないこともあるということです。
本人が新しい生活に慣れるまでの時間、家族の戸惑い、そして周囲の方々の協力。
その一つひとつが、介護生活を支えてくれました。
だからこそ、親が元気なうちから、これからの暮らしについて少しずつ話しておくことが大切なのだと思います。
終活は、亡くなった後に残される家族のためだけのものではありません。
これからの人生を、できるだけ自分らしく、安心して暮らしていくための準備でもあるのだと思います。
田中行政書士事務所では、相続・遺言・任意後見など、終活に関するご相談をお受けしています。
詳しくは、当事務所の「終活」ページもご覧ください。
