建設業許可のご相談の中で、
意外と多いのが次のようなケースです。
「実務経験は10年以上あるのに、
専任技術者として証明できないと言われてしまった」
今回は、
実際に私が対応した建設業許可の事例をもとに、
- なぜ実務経験10年があっても証明できないのか
- どこでつまずきやすいのか
- どうやって許可取得までたどり着いたのか
を、実務目線で解説します。
建設業許可で求められる「専任技術者」とは
建設業許可を取得するためには、
営業所ごとに 専任技術者 を配置する必要があります。
専任技術者になる方法はいくつかありますが、
資格がない場合に多く使われるのが、
「実務経験10年以上」
という要件です。
この「実務経験10年」は、
実際に働いていた事実があればOKというものではなく、
👉 客観的な資料で証明できること
が前提になります。
資料がなければ要件はクリアできません。
実務経験10年あるのに証明できなかった実際のケース
■ ご相談の概要
ある建設業者様のケースです。
- 建設業の実務経験:10年以上
- 業種:管工事業
- 専任技術者要件:実務経験10年で申請予定
一見すると、何の問題もなさそうに見えました。
■ 問題になったのは「証明資料」
実務経験10年を証明するため、
よく使われる資料の一つが 通帳 です。
ところが今回は、
- 古い通帳をすでに破棄していた
- 金融機関に確認したところ
直近分は出せるが、最初の2年分は発行不可
という状況でした。
その結果、
👉 実務10年をフルで証明できない可能性
が出てきました。
仕訳帳など「自己作成資料」は使えるのか?
当初は、
- 仕訳帳
- 帳簿データ
- 内部資料
などを提出して対応できないか検討しました。
しかし結論としては、
❌ 自己作成資料だけでは不可
❌ 対外的に客観性のある資料が必要
という判断になりました。
行政手続きでは、
「自分で作った資料」よりも、
- 注文書
- 請書
- 請求書
- 契約書
といった 第三者との取引が分かる書類 が重要視されます。
専任技術者の実務経験は何で証明できる?
専任技術者の実務経験10年を証明する際に、
実務上よく使われるのは次のような資料です。
- 工事の注文書・請書
- 工事の契約書
- 工事の請求書
- 請求書に該当する入金が確認できる通帳
- 勤務先の在籍証明書(ケースによる)
👉 1種類で足りない場合は、複数資料を組み合わせて判断されます。
実務経験10年が使えない場合の「別ルート」
今回のケースでは、
- 実務10年ルート → 証明が難しい
という状況になりました。
そこで改めて要件を整理し直しました。
■ 学歴+実務経験という選択肢
専任技術者の要件には、
- 指定学科の大学卒業+実務経験3年
という別ルートがあります。
確認したところ、
- 大学の学科が指定学科に該当
- 実務経験3年以上は十分に証明可能
という状況でした。
書類を差し替え、無事に建設業許可を取得
最終的には、
- 実務経験10年ルート → 不採用
- 学歴+実務3年ルート → 採用
という形で申請内容を変更し、
👉 無事に建設業許可を取得することができました。
実務経験10年は「あるか」より「証明できるか」
このケースから分かることは、とてもシンプルです。
- 実務経験が「ある」こと
- 実務経験を「証明できる」こと
は まったく別 だということです。
特に、
- 昔の資料を処分している
- 個人事業主期間が長い
- 転職や独立を繰り返している
という方ほど、
早めの確認 が重要になります。
建設業許可の専任技術者でお悩みの方へ
- 実務経験10年でいけると思っていた
- でも証明資料が揃わない
- 他のルートが使えるか分からない
そんな場合でも、
要件を整理し直すことで道が開けるケースは少なくありません。
状況によって使えるルートは変わります。
「これは無理かもしれない」と決めつける前に、
一度整理して確認することをおすすめします。
定期的に建設業許可の状況を、
建設業許可を扱う行政書士など第三者の視点で確認しておくことが有効です。
(詳しくは👉 https://shinjuku-gyoseishoshi.tokyo/ )
