「自宅を建設業の営業所として許可申請できますか?」
建設業許可のご相談では、このようなご質問をいただくことがあります。
結論からいえば、自宅を営業所として建設業許可を取得することは可能です。
ただし、自宅の住所を会社の本店所在地として登記しているだけでは、建設業許可上の営業所として認められるとは限りません。
特に東京都では、住居部分と営業所部分が適切に区分されているか、事務スペースや応接スペースが確保されているかなど、営業所の実態が重要になります。
今回は、東京都で自宅を建設業の営業所として使用する場合の注意点を、実際の申請経験も交えながら解説します。
1.建設業許可でいう「営業所」とは?
建設業許可における営業所とは、建設工事の請負契約について、見積りや契約締結などの営業活動を実質的に行う場所をいいます。
そのため、会社の登記上の本店所在地であっても、実際には建設業の営業活動を行っていない場所であれば、建設業許可上の営業所とは認められない場合があります。
反対に、自宅の一部であっても、必要な条件を満たし、建設業の営業所としての実態が確認できれば、許可申請の対象となります。
大切なのは、住所だけではなく、実際に営業所として使用できる状態になっているかという点です。
2.東京都では自宅と営業所の区分が重要
自宅兼営業所の場合、特に注意したいのが住居部分と営業所部分の区分です。
東京都の建設業許可の手引では、個人の住宅に営業所を設ける場合、居住部分と適切に区別され、独立性が保たれていることが求められています。
例えば、次のような点を確認しておく必要があります。
- 住居部分と営業所部分が明確に区分されているか
- 事務作業を行うスペースが確保されているか
- 来客に対応する応接スペースがあるか
- 営業所として必要な机や電話、事務台帳などが備えられているか
- 外部から営業所であることが分かる表示があるか
自宅の一室に机を置いているだけでは、営業所としての実態を十分に説明できない場合があります。
また、建物の入口から営業所までの動線についても確認が必要です。
東京都では、自宅兼営業所の場合、入口から営業所までの動線部分の写真が求められています。
ただし、建設業許可について、住宅用とは別の入口を一律に設けなければならないというわけではありません。
重要なのは、住居部分との区分や営業所の独立性を、実際の状況に基づいて説明できることです。
3.営業所の写真はどのように撮影する?
東京都の建設業許可申請では、営業所の実態を確認するため、営業所写真の提出が求められます。
主な撮影箇所は、建物の外観、営業所の入口、営業所内部などです。
営業所内部については、事務スペースと応接スペースが確認できる写真を用意します。
また、室内の概要が分かるよう、複数の方向から撮影することも大切です。
自宅兼営業所の場合には、さらに住居部分と営業所部分が明確に区分されていることが分かる写真が必要になります。
写真を撮影する際には、単に机や椅子だけを写すのではなく、営業所として使用している場所の状況が分かるようにしておきましょう。
4.自宅兼営業所では間取り図も必要
東京都では、営業所が住居と同じ建物内にある場合、営業所写真に加えて、間取り図の提出が求められます。
間取り図には、住居として使用している部分と営業所として使用している部分を示し、建物の入口から営業所までの位置関係が分かるようにします。
東京都の手引では、間取り図は手書きでも差し支えないとされています。
ただし、手書きでよいからといって、住居部分と営業所部分の区分が曖昧でもよいということではありません。
実際の使用状況に合わせて、分かりやすく作成することが大切です。
5.神奈川県の更新申請でも見取図を求められた事例
最近、当事務所が神奈川県で行った建設業許可の更新申請でも、自宅兼営業所について追加の確認がありました。
更新申請自体は受理されましたが、その後、自宅として使用しているスペースと営業所として使用しているスペースを区分した見取図の提出を求められました。
このケースでは、正式な建築図面ではなく、部屋の配置と使用区分が分かる簡単な手書きの見取図を用意していただくよう、会社の方にお願いしました。
このように、更新申請であっても、営業所の状況について追加の確認が行われることがあります。
なお、東京都と神奈川県では、営業所の確認方法や提出資料の取扱いが異なる場合があります。
今回の神奈川県での事例が、そのまま東京都の審査基準になるわけではありません。
6.申請してから慌てないために
建設業許可の申請では、経営経験や技術者の資格、財産的基礎などに目が向きがちです。
しかし、営業所の要件も忘れてはいけません。
特に自宅兼営業所の場合には、申請書類を作成する段階になってから、住居部分との区分や営業所内部の状況について問題に気付くことも考えられます。
そのため、申請前の段階で、実際に営業所として使用している場所の状況を確認しておくことが重要です。
必要な写真や間取り図を準備し、営業所としての実態を説明できる状態にしておくことで、申請時の確認にも対応しやすくなります。
7.まとめ|自宅兼営業所は事前確認が大切
自宅を営業所として建設業許可を取得することは可能ですが、住所を登記しているだけでは十分とはいえません。
特に東京都では、住居部分と営業所部分の区分、事務スペースや応接スペースの確保、営業所写真や間取り図など、確認しておきたい点があります。
また、今回の神奈川県での更新申請のように、申請後に追加資料を求められる場合もあります。
「自宅だから許可が取れない」ではなく、「営業所としての実態をきちんと説明できるか」という視点で、申請前に確認しておくことが大切です。
田中行政書士事務所では、東京都・神奈川県を中心に、建設業許可の新規申請、更新申請、業種追加、決算変更届、各種変更届などに対応しています。
自宅を営業所として建設業許可の取得をお考えの方も、お気軽にご相談ください。
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