建設業許可を取得している事業者は、毎事業年度終了後、決算変更届(事業年度終了届)を提出する必要があります。
決算変更届では、税務申告で使用した決算書をもとに、建設業法に基づく財務諸表を作成します。
🟨 ここで注意したいのが、税務申告書の決算書に記載されている数字を、そのまま建設業の財務諸表へ転記できるとは限らないということです。
実際の業務でも、決算書を確認していて「この外注費はどのような内容だろう?」と確認が必要になることがあります。
販管費に「外注費」が計上されているケース
たとえば、税務申告用の損益計算書を見ると、販売費及び一般管理費の中に「外注費」が計上されていることがあります。
しかし、その外注費の内容が、工事を完成させるために他の建設業者等へ支払った下請代金である場合には、建設業の財務諸表を作成する際、**完成工事原価の「外注費」**として整理する必要があります。
そのため、
「税務申告書に外注費○○万円と書いてあるから、そのまま販管費の外注費として転記する」
というわけにはいきません。
🟨 まず、その外注費が何に対して支払われたものなのかを確認することが重要です。
税務申告用の決算書と建設業の財務諸表は同じではありません
ここは少し分かりにくいところですが、税務申告のために作成された決算書と、建設業許可における決算変更届で提出する財務諸表では、目的や表示方法が異なります。
そのため、税務申告が正しく行われていたとしても、建設業の財務諸表を作成する際には、勘定科目の内容を確認して組み替える必要が生じることがあります。
たとえば、販管費に計上されている「外注費」の全部が工事に関するものであれば、その金額を販管費から除き、完成工事原価の外注費として整理することになります。
一方、外注費の中に工事とは直接関係しない費用も含まれている場合には、内容を確認したうえで分けて処理する必要があります。
建設業を多く扱う税理士事務所の場合
建設業のお客様を多く扱っている税理士事務所では、建設業の財務諸表への組替えも意識して、工事に関する外注費などが分かるように処理されていることがあります。
その場合、決算変更届を作成する行政書士側でも内容を確認しやすく、財務諸表の作成を比較的スムーズに進めることができます。
一方で、税務申告用の決算書では、工事に関する支出が販売費及び一般管理費の「外注費」などとして計上されているケースもあります。
これは直ちに税務上の処理が間違っているということではありません。
ただし、
🟨 建設業の決算変更届を作成する際には、その数字をそのまま使用するのではなく、内容を確認して建設業の財務諸表に合わせて整理する必要があります。
数字が合えばいい、ではありません
組み替えを行うと、完成工事原価や販売費及び一般管理費の金額が、税務申告用の決算書とは異なることがあります。
そのため、
- 完成工事原価
- 販売費及び一般管理費
- 営業利益
- 当期純利益
など、財務諸表全体の数字が整合しているか確認することも大切です。
一つの科目だけを動かして終わりではなく、最終的に財務諸表全体の数字がきちんとつながっているかまで確認します。
決算変更届は毎年提出する大切な手続きです
建設業許可を取得すると、毎年の決算変更届が必要になります。
そして、更新申請や業種追加などを行う際に、過去の決算変更届が提出されているか確認されることもあります。
「税理士さんから決算書をもらったから、あとは数字を書き写せば終わり」
と思われることもありますが、実際には今回の外注費のように、内容を確認しながら建設業用の財務諸表へ整理し直す作業が必要になることがあります。
建設業許可の更新を控えている方は、以前の記事**「建設業許可更新はいつから準備?」**もあわせてご覧ください。
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